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韓国の知識財産処は、2026年3月5日、K-POPアイドルグループの名称および肖像を無断で使用してグッズを製作・販売した4社に対し、「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」(以下「不正競争防止法」)を適用し、是正命令を発出したことを明らかにしました。
これは、パブリシティ権(publicity right)の侵害を理由とする韓国初の是正命令事例であり、K-POP産業の成長および権利者保護に向けた知識財産処の姿勢を示すものと評価できます。
今回の是正命令は、パブリシティ権侵害に対する行政制裁手段が実質的に運用され始めたことを意味するため、関連企業においては注目する必要があります。
1. 是正命令の背景
2. パブリシティ権侵害行為に対する法的救済手段
3. 示唆
1. 是正命令の背景
知識財産処は、実店舗 およびオンラインプラットフォームを対象に行政調査を実施し、「SEVENTEEN、BOYNEXTDOOR、TOMORROW X TOGETHER、aespa、IVE、RIIZE」など合計6つのアイドルグループに所属するアーティスト41名の芸名および肖像が無断で使用された商品(フォトカード等)が流通していることを確認しました。これを受け、知識財産処長は、当該業者らの行為を不正競争防止法第2条第1号(タ)所定のパブリシティ権侵害行為と判断し、違反業者に対して、(1)違反商品の販売中止および商品の廃棄、(2)類似した方法による販売の禁止、(3)再発防止のための教育受講等を含む是正命令を発出しました。
2. パブリシティ権侵害行為に対する法的救済手段
ア. 不正競争防止法第2条第1号(タ)の不正競争行為
「パブリシティ権」とは、芸能人、アスリート 等の著名人の顔、氏名、声、署名等の人格的標識が有する経済的価値を商業的に利用することができる権利を意味します。従前は、パブリシティ権を明示的に保護する法律が存在しなかったため、「パブリシティ権」という概念を認めることができるのか、さらにどのように保護できるのかについて議論がありました。裁判所の判断においても、パブリシティ権を認めた事例と否定した事例が混在していました。
このような状況の中、国会は2021年に不正競争防止法を改正し、「国内に広く認識され、経済的価値を有する他人の氏名、肖像、音声、署名等、その他人を識別することができる標識を、公正な商取引慣行または競争秩序に反する方法により自己の営業のために無断で使用することにより、他人の経済的利益を侵害する行為」を不正競争行為の一類型として追加しました{同法第2条第1号(タ)}
これにより、現在、パブリシティ権は不正競争防止法により明示的に保護されています。
これにより、現在、パブリシティ権は不正競争防止法により明示的に保護されています。
イ. 法的救済手段および知識財産処の行政制裁権限
(タ)の不正競争行為について、権利者は損害賠償請求(同法第5条)および差止請求(同法第4条)を通じて権利救済を受けることができます。ただし、(タ)については刑事処罰規定がないため、刑事告訴はできません。
一方、知識財産処長は、不正競争行為の確認のために行政調査を行う ことができ(同法第7条)、違反行為があると認める場合には、是正勧告または是正命令を行うことができ、関連内容を公表することもできます(同法第8条)。従前は是正勧告のみ可能でしたが、2024年の不正競争防止法〔2024年8月21日施行、法律第20963号による改正前のもの〕の改正により、制裁措置として是正命令を行うことが可能となりました。是正命令に違反した場合、2,000万ウォン以下の過料が科される恐れが あります(同法第20条第1項第1の2号)。
3. 示唆
本是正命令は、芸能人の名称および肖像を無断で使用したグッズ販売行為に対する初の行政制裁事例であるという点で、相当な意義があります。
権利者としては 、不正競争行為の根絶に向けた知識財産処の積極的な姿勢に呼応し、知識財産処への申告 を救済手段として積極的に考慮するに値します。 特に、侵害証拠の確保が容易でない場合には、知識財産処の行政調査機能を利用して侵害証拠を確保し、これを根拠として損害賠償請求をはじめとする本格的な法的措置へ進むことが効果的な戦略となり得ます。また、侵害業者が零細であり、訴訟提起にやや負担がある場合には、知識財産処の是正命令を通じて問題を解決する方法が効率的な選択肢となり得ます。どの方法が最も効率的な対応策となるかについては、法律専門家に相談のうえ決定されることをお勧めします。
一方で、ファンによる応援活動と、商業目的による権利侵害行為との境界が必ずしも明確でない場合が少なくありません。例えば、ファンが自ら制作したグッズをファン掲示板等で一定の対価を得て販売する場合に、これを一律に禁止すると、ファン心理に悪影響を及ぼす可能性があります。したがって、芸能事務所などの権利者は、ファンダム活動として許容される行為とそうでない行為とを区別する基準を明確に定める とともに、侵害行為を常時モニタリングする体制を整備する必要があります。
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